部員数を倍増させた「ポンコツ部長」が農業ガールに変身したわけ。東京農業大学片山愛
「内面から耀く女性を輩出し、社会に新たな耀きを」を理念に活動している女子大生PRユニットTeamKJでは2020年度の代表を決めるべく、オーディションを実施。
この理念を体現する女子大生として、最終ファイナリスト8名の学生を紹介していきます。
今回インタビューするのは東京農業大学2年生の片山 愛さん。
片山 愛さん -KATAYAMA MANA-
出身は茨城県で田んぼに囲まれてのびのび育ちました。いつも笑ってるねとよく人 に言われるほど明るいです!大学では収穫祭の本部の宣伝隊を務めております。宣伝隊は地域に密着して活動していて、様々な年代の方々と交流できる楽しさがあります。最近はカレーにハマっていて自分で色々ア レンジして作ったり、カレー屋さん巡りを楽しんでいます!
明るく快活な印象の片山さん。
おしゃれで、トレンドにも敏感。そんな風に見える彼女が今一番興味があるのは「農業」だと語ります。
「元々は途上国の子どもたちに何かしてあげたいと思って農業の勉強を始めたんですけど、今はすっかり農業の魅力に取りつかれちゃって!!農業のこれからって意外と明るくて、第一次産業がエネルギッシュでかっこいいと思われるような未来がすぐそこに待ってると思うんです!!」
キラキラした目で社会問題について話す、そんな社会意識の強い片山さん。
社会問題の話をされると、普通は少し難しく感じてしまったり、すごい高尚な人なんだなと自分との距離を感じてしまうことも少なくないように思いますが、明るく楽しそうに話す彼女には一切そんな壁を感じることはありませんでした。
というのも今回の取材はオンラインで行っていて、パソコンで参加される方が多い中、スマホを手に持った状態でZOOMの画面に現れた片山さん。「すみません!パソコンがフリーズしちゃって!ちょうどいい高さの台がなくて手持ちなんですが大丈夫でしょうか…?」
そんな片山さんの登場にすごくいい意味で肩の力が抜けました!笑
結局そのままの状態で1時間以上お話しをしてくれた片山さんは、終始等身大でありのまま、社会問題についても全く気取らずに話を進めます。
高校時代には英語部の部長を務め、部員数一桁だった部活を、県の代表にするまで急成長させた彼女。
しかし、部員からは「ポンコツ部長」と呼ばれていた!?
大したことがないことでも見栄を張ってしまう人が多い中、すごいことや難しいことを大したことではなさそうに話すことができる、そんな片山さんの魅力に迫ります。
▶インタビュワー
松本木実
神戸大学卒業。在学中は女性のキャリアに興味を持ち、4つの女子大生団体を運営。卒業後はブライダルスタイリストを経て、現在はコンテンツマーケティングを行うスタートアップケイ・ブリッジにて人事を務める。採用や就職活動のサポートを通して300名近くの学生に携わる傍ら、女子大生PRユニットTeamKJの運営も行っている。
目次
幼いころベトナムで見た花売りの少年。この光景が今も忘れられない
片山さんが海外に興味を持ったきっかけは、小学生時代にまで遡ります。
お父様はずっと海外で仕事をされていて、片山さんも一時期ベトナムに住んでいたことがあるそう。
ベトナムの都市部で、高層ビルも建っている。
異国ではあるがよくある普通の都会の中で、片山さんが見たのは、花束を抱える少年でした。
ただ、その花は誰かにあげるものではなくて、観光客に売るための商売道具なのです。
日本人だと分かると、さっと近くまでやってきて、お花を買ってくれるまで食い下がる。
たとえそのお花を買ったとしても、その収入はその少年ではなく、働かせている大人の元に入るのです。
世界でこうした児童労働に従事する子どもの数は、約1億5,200万人に上るといわれています。
「あの光景は本当に衝撃でした。
あのときお花を売っていたのは、わたしと同い年くらいの子だったんです。
でもそれ以上に、それを見ても何も出来ない自分自身の無力さにショックを感じました。
だから、大きくなったら、ああいう子たちに少しでも役に立つことがしたいと決めたんです。」
この光景が片山さんを農業の世界に駆り立てるきっかけとなりました。
国際的な貧困を解決したいと思っていた。
--児童労働を解決するために、どうして農業を選ばれたんですか?
一般的には、途上国での支援のボランティアなどをしようと考える人が多いのかなと思ったのですが。
物資などのその場限りの支援ではなくて、児童労働が起こっている環境を根本から解決したいなと思ったからです。
あのあと日本に帰って調べてみると、ああいった働き方をしている子どもの8割は貧しい農村の出身で、都心部に出稼ぎに来ていることが分かりました。
それなら農業の技術を向上させて作業効率が上がれば、きちんと収益も出るようになって、児童労働の問題の解決にも繋がるんじゃないかって思ったんです。
--なるほど。それで農業大学という選択をされたんですね!
大学に入るまでは、何か国際課題に関連した活動はされていたんですか?
英語を使うことや、国際問題全般に興味があったので、中学生の頃は出身の茨城県で行われる英語インタラクティブフォームという大会に参加をしていました。
県内の中学校から代表者が各1~2名ずつ参加する大会で、スピーチとは異なり、相手の言った言葉に対して、その場で自分の考えをまとめて会話を繋げていくような内容のものなんです。
大会期間中は県内の他の中学校と合同で行う勉強会などもあって、すごく楽しかったんですよね。
なので、高校生になったら絶対英語部に入ろう!って思っていました!
部員数を3倍近く増やした「ポンコツ部長」
高校に入学した片山さんは念願だった英語部に入部をします。
憧れていた英語部、ですが実際には部員数は一桁大、週の活動日数すら決まっていない、そんな部活とは名ばかりの状況だったそう。
さらに、一つ上の代がいなかったため、入部してから入部してから1ヶ月後には、何もわからないまま部長になってしまうという大ピンチに陥ります。
「どうせやるなら私たちの代で大きくしたい!」
そう考えた片山さんは英語部の改革を押し進めました。
--いきなりそんな状況なんて…理想と全然違っていたんですね…!
でも正直、1年生の5月で部長なんて何も分からなくないですか?
本当にそうなんですよ!
なので、まずは週の活動日数を決めるとこから始まりました。笑
それから部員一人一人とお話しする時間を作り、部員のやりたいことに合わせてプログラムを立てて、活動内容を決めて行くことにしたんです。
もとの緩い雰囲気が好きだった子も参加しやすいよう、月に一度海外の文化を学ぶパーティをプログラムに組み込んだりもしました!
--本当に相手に寄り添って考えていたんですね!
部活動で印象深い出来事は、ありましたか?
県の代表として、国連の職員の方々の前でスピーチする機会があったんです。
最初は、わたしたち高校生と国連の職員の方の知識量や経験値なんて比べ物にならないくらいなのに、わたしなんかがスピーチしていいのかな…って思っていたんですよ。
すごく緊張しながら、一生懸命スピーチをしたんですけど、職員の方が「あなたの考えは、若い人しかできないような柔和な発想で、あなたのこれからの活躍にすごく期待しているし、若い人だからこそできることを忘れないで欲しい」とわざわざコメントをくださったんです。
未熟な立場で何を伝えられるかと思っていたのですが、若い世代として考えを発信することにも意味があるんだって思えた瞬間でした!
--ほとんど機能していなかった部活を、県の代表に選ばれるほどに成長させたなんて、すごいですね…!
いや、わたしがすごいんじゃないんです!
同期の子たちには「ポンコツ部長」と呼ばれていたくらいなので。笑
みんなで支えあって、みんなで意見を出して築いていった部活でした。
結局私の卒業時には部員数も入部した時より格段に増えて、後輩たちの話を聞くと今もさらに増えているそうなので、土台を作れたのは本当にうれしいなと思います。
第一次産業はエネルギッシュでかっこいい!取り憑かれた農業の魅力
幼い頃、衝撃を受けた貧困問題の解決の糸口を掴むべく、片山さんは農業大学に入学。
大学では農村部における生活水準を向上させるために農業技術を研究したり、途上国に暮らす子どもや女性など立場の弱い人の社会的地位の向上に貢献する方法を模索したりしています。
その研究の過程で、日本の農村にも足を運ぶうちに、どんどん農業が持つ魅力に取り憑かれてしまったと彼女は話します。
--農業に魅了されたとのことですが、どういう所に魅力を感じたのでしょうか?
最初は農業って、きつくて、割りに合わないとかどうしてもマイナスなイメージだったんですけど、最近は農業にも様々なテクノロジーが導入されて、いろんな手法が取られてきているんですよ!
農業に最新のテクノロジーを応用し、効率化を図るアグリテック(農業テック)系のスタートアップの数も増えています。
そういった技術面だけでなく、例えばSNSを使ってお野菜を売ったり、作った製品をブランド化して価値を高めたりと、売る手法もたくさん出てきていて。それに実は新しく農業を始める人の数も、年々増えてるの知ってましたか?
--農業を始められる方って増えているんですか!むしろ逆のイメージでした。
そうなんです!
国が手動となって新規就農者を支援する制度や環境の整備に力を入れているので、「農業に関心がある」という人がどんどん参入しやすくなっているんです。
それ以外にも、都会に疲れて自然豊かな場所で暮らしたいという人が増えたりとか、ネットが発達したことで地方に住むことに対するハードルが下がったりというライフスタイルの変化が影響しているのかもしれないなとも考えています。
まだまだ大きく成長を遂げる余地があるからこそ、農業のこれからって意外と明るくて、第一次産業がエネルギッシュでかっこいいと思われるような未来がすぐそこに待ってると思うんです!!
--確かに最近は、農地をシェアして土日だけ農業をしている方とかもいらっしゃいますもんね。
では、片山さんは将来は農業に対してどのように携わりたいと考えているんですか?
農業のイメージを変えるような発信をしていく存在になりたいと思っています!
少しづつ新規就農者数は増えてはいますが、まだまだ数が足りていなかったり、高齢化などの問題もあるので、「農業はおじいちゃんおばあちゃんがやるもの」というイメージから、もっと明るくて面白いエネルギッシュな世界になっていくんだよと若い世代の伝えていくことがしたいなと思います。
そして、新しいチャレンジを
トレンドなどきらきらしたものよりも、今社会で起こっている問題や課題について、同世代の人が少しでも関心を持ってもらえるような発信がしたいと語る片山さん。
難しいことを、なんでもなさそうに語ることができる彼女だからこそ挑戦できるのでは無いでしょうか。
そのためには発信ができる環境が欲しいんだと、新しい環境に挑戦します。
片山さんが飛び込んだのは、全国の学生100名が所属する女子大生PRユニット『TeamKJ』。
「社会にまだない輝きを」というミッションにすごく共感したことから、この学生団体への加入を決めたそう。
代表を選ぶオーディションに参加する意気込みを語ってくれました。
オーディションにかける意気込み
SNSなどで人と比べて、自信をなくしてしまっている。そんな同世代の女の子をよく見かけます。
でも私は、その人にしかない輝きが絶対あって、ひとりひとり違うその輝きこそが社会の大きな力になると思っています。
そんなパワーのある若い世代が普段関心を持たないような、社会の様々なテーマに触れてもらえるように私はTeamKJの代表として活動したいと考えています。
そして1人でも多くの若い人が、社会情報に対して他人事でなく自分事のように考えることが出来るようなコンテンツ作りに励みたいと強く思います。
女子大生PRユニット『Team KJ』とは
全国の女子大生約50名が参加する学生団体です。卒業生、関連団体も含めると100名以上が在籍しています。
「社会に、まだない耀きを」を理念に20代女性向けのPR活動を行っていて、ウェブを使ったプロモーションや、イベントの企画運営を学生自らが行っています。
2015年度から行政、大手百貨店、農業系共同組合など50社以上とタイアップをしており最近では大阪万博の誘致プロジェクトにも携わっています。2020年5月より活動をオンライン化。コロナの影響により、リモートで「何かしたい」という多数の学生の声に応えるため、全国からオンラインで活動するメンバーを募集しています。