18歳からのセカンドキャリア。役者の道から事業主へ転身を遂げた彼女の目指す未来とは?大阪音楽大学青島ほなみ
「内面から耀く女性を輩出し、社会に新たな耀きを」を理念に活動している女子大生PRユニットTeamKJでは2020年度の代表を決めるべく、オーディションを実施。
この理念を体現する女子大生として、最終ファイナリスト8名の学生を紹介していきます。
今回インタビューするのは大阪音楽大学1年生の青島ほなみさん。
青島ほなみ -AOSHIMA HONAMI-
2014年から4年間関西の劇団に所属し、役者として活動。舞台の世界にのめり込み、公共ホール・USJでの音響スタッフ、ダンス講師の仕事なども経験。昨年、脊椎側弯症の手術を受け、社会と芸術の関わり方を意識するようになる。2020年からは中小芸術(小劇団・自主製作映画、インディーズアーティスト等)をより社会に発信していきたいという思いから、「青波企画」事業を立ち上げる。エンタメメディア運営、ライティング代行のほか、現在構想中の「アフターコロナのライブエンタメ市場を支えるサービス」実現のため動き出している。
中学、高校と舞台の世界にいたという青島さん。
表舞台に立つほか、最終的には契約社員として音響スタッフの仕事もしていたといいます。
「エンタメ業界に恩返ししたいと思い、今はライティングやメディア制作を行う事業を立ち上げています。」
落ち着いた口調で話す青島さん。
3か月前までは高校生だったとは思えないほど、大人びた印象を受ける彼女が、どういった経験から現在の事業を立ち上げるに至ったのか。
その裏側には、青島さんの強さがありました。
▶インタビュアー
松本木実
神戸大学卒業。在学中は女性のキャリアに興味を持ち、4つの女子大生団体を運営。卒業後はブライダルスタイリストを経て、現在はコンテンツマーケティングを行うスタートアップケイ・ブリッジにて人事を務める。採用や就職活動のサポートを通して300名近くの学生に携わる傍ら、女子大生PRユニットTeamKJの運営も行っている。
目次
病気の経験から一気転身。文章で表現の道を進みたい。
現在、青島さんは18歳。
大学に入学して3か月余りにもかかわらず、個人で事業を立ち上げています。
淡々と、しかし熱く、自分の歩んできた軌跡を話してくれました。
エンタメの発信がしたくて、メディア運営を
--青島さんはどういった事業をされているんですか?
現在「青波企画」という屋号で、メディアサイトの作成代行や、コンテンツライティングの受注などを行っています。
その中でも今一番力を入れているのが、エンタメ系の情報を発信するメディアサイトの運営です。
関西のアイドルを中心に、イベント情報やライブレポート、インタビュー記事等を発信しています。
去年からやりたいなと構想はあったのですが、実際に始動したのは今年の1月からですね。
なので、まだまだ軌道には乗っていないですが、今月からサイトリリースに向け、SNS運用やメルマガの発信も始めました。
--今年の1月から…ってことはまだそのとき高校生ですよね!?
ウェブ系が元々得意だったんですか?
いや、実は始めるまで全くの初心者でした。笑
現在はサイト全体の設計から、記事の作成までほぼ個人で行っていて、公式SNSの運用や、運営上の管理、経営面などはサポートして頂いてます。
本当に何も分からない状態だったんですが、必要に迫られて勉強しました。
今では、ワードプレスを使ってウェブサイトを作ったり、イラストレーターでロゴを作ったり出来るようになり、外部の受注も少しずつ受けるようになりました。
現在はエンタメやアート分野だけでなく、ソーシャル、ビジネス、フードなど幅広いウェブサイトと関わっています。
--ウェブが得意だったわけではなかったんですね!
ますます、事業を始められたきっかけが気になります…!
最初からメディア運営がしたかったわけではないんですよ。
ある時、ずっと続けていた活動に終止符を打って、将来のビジョンに悩んでいた時に、趣味としてなんとなく始めたことが今の活動に繋がっているんです。
女性「らしく」生きることへの疑問
--将来進むべき道を迷っているときに、あえて全く触れたことの無い世界に飛び込むってすごく勇気が必要だと思ったのですが、女性としての『強さ』を大事にしてらっしゃるんですか?
女性とか、男性とか関係なく、強い人でありたいとは思っています。
社会で活動をする中で、若いから、女性だから、という理由で下に見られることも多くて。
なので、「女性だから価値がある」とか「女性だからこうしたほうがよい」とか性別で区切られることは好きではないですね。
若さとか性別とか見た目を武器にはしたくないんです。
人間として認められたいなと思っています。
--すごくそれは分かります。私も「女の子だから」と言われ活動を制限されることに疑問を感じていて、女性の可能性を広げるような現在の活動をしたいと思うようになりました。
将来どんな風になりたいという理想はありますか?
私の身近にとてもかっこいい女性がいて。
私もその方にならって、丸坊主にしたいと思っています。
--丸坊主ですか!?
そうです。笑
髪の毛っていう言わば女性のシンボルのようなものがなくても、自分らしく生きている方がいて、とてもかっこいいなと思っていました。
固定概念がなくても、生きていけるんだよということを示したいと思っています。
--かっこいいー!!現在は素敵なロングヘアですがすぐに坊主にしたいとはならなかったんですか?
本当はすぐにでもしたいのですが、学生という立場上、親から止められてしまいました。笑
--すごく落ち着いていらっしゃるので、今のを聞いてそういえば青島さんまだ学生だったな、って思い出しました。笑
そのように思われるきっかけってなんだったんですか?
中学時代から劇団員として役者活動をしていたんです。
そのころは周りにLGBTQ+の方が多くいて、あまり『性別』といったものを意識していなかったのですが、大学生になりアルバイトなどで社会に出ると「女の子だから力仕事はやらなくていいよ」とか「女の子なんだから夜の遅番は入らない方が」とかって仕事を取り上げられることがあって。
社会にはそうやって、分ける人もいるんだなと思ったのがきっかけでした。
▲劇団員として活動をしていた高校生の青島さん。
--役者をされていたんですね。今も役者活動はされているんですか?
いえ、今はしていません。
特発性側湾症という病気を患っていて、高校2年生でその手術をしたことをきっかけに、表舞台からは身を引き、力仕事の多かった音響スタッフの仕事も退職することになりました。
13歳~17歳というたった5年の期間ですが、多感な時期でもあり、自分は舞台の世界で生きていくんだという気持ちが固まりつつあったところだったので、当時はとても悩みました。
▲症状の悪化を防ぐため、長年着用していたコルセット。闘病中の記録はインスタグラムで残していました。
エンタメ業界に恩返しがしたい
側弯症とは本来正面から見て、まっすぐになっているはずの背骨が、S字型に湾曲してしまう病気です。
突発性の場合は原因不明なことが多く、その症例は特に思春期の女性に多く見られると言います。
そんな病気の経験を経て、今後成し遂げたいビジョンを話してくれました。
--生きがいだったものを失う、そんな本当に苦しい状態から、どうやって今の新しい夢を語るまでに立ち直ることが出来たのでしょうか。
あまりにも落ち込む私を見て、ずっと支えてくれていた方が言ってくれたんです。
「そんなにこの業界が好きなら、この業界の良さを発信していく側になったらいいじゃない。」
はっと気付かされた瞬間でした。
舞台音響をやっていた経験もありましたし、私なりのやり方で、裏で芸術やエンタメに携わる人をサポートしていきたいと思うようになったんです。
表現する側でも、支える側でも、いつもエンタメは私の活力だったし、これからは私が社会に繋ぐ役割となって恩返ししていけたらなと思いました。
そしてまずはアートのレポートブログのようなものから始めました。
以前からボランティアで記事のライティングを行っていたこともあり、文章を書くことが好きなこと、そして家族の影響でカメラが使えることから、自分の力を活かせるかなと思ったんです。
そこからより熱中できるジャンルを見つけ、「メディアサイト」という形でも発信していきたいということで、ウェブの勉強を始めるようになりました。
▲美術館の取材。映画や展示会のレポート記事なども書いているそう。
もっと自分の可能性を試したい
青島さんは置かれた状況で出来ることを探したり、新しい道を切り開いていく生き方が可能だということを、もっと伝えていきたいと話します。
--個人事業を初めて、メディアも立ち上げた青島さんは、まさに新しい夢の始まりに立っているのだと思うのですが、今後どんなことをやっていきたいですか?
やっぱり一番は芸術やエンタメの可能性を社会に広めていきたいです。
そのために大学卒業後は、今の個人事業を発展させて、法人化ができたらなと考えています。
今のコロナのような危機的状況に陥った時、芸術は娯楽として除外されがちですが、それでもなおずっと誰かに必要とされ続けていたから、芸術には長い歴史があるんだと思うんです。
こんな状況だからこそ、孤立しているアーティストたちと社会を繋ぐような取組みをしていきたいと思っていて、アフターコロナで不況が続くであろうライブエンタメ産業を支援できるようなサービスを作りたいと考えています。
あとは、自分自身病気をしていたという経験から、医療とアートを繋ぐことに興味がありますね。
最近では『ホスピタルアート』といって、病院などの医療環境をアートの力で快適な空間にしていくという試みも注目されているので、私もなんらかの形で携わりたいと思います。
--芸術をさらに新しい形で社会に発信していくのは、まさに『芸術家』ですね。
そのために今大学生の間に、挑戦してみたい事はあるのでしょうか?
今までは自分が「学生」だって意識して活動した事はなかったんですよ。
性別とか若さという物を武器にするのって、実力ではないし、正直卑怯じゃないかなって思っててたくらいで。
だから今までは、学生であるということも言っておらず、SNSやウェブライターとしては顔もほとんど出していない状態で活動をしていました。
でも、今は女子大生だということに可能性を感じていて、将来のためのチャンスとして生かしていきたいと思っています。
そう思ったのも、今回応募した女子大生ユニット『Team KJ』と出会ったのがきっかけでした。
KJで活動されている方は、私じゃ全然敵わないような学歴を持つ方や、すごくお綺麗な方がそれぞれ自分の目標を持っていて、その目標のために女子大生の今だからできることをされていて、純粋にすごいなって、かっこいいなと思ったんです。
あと個人では、司会やラジオの経験を生かして、音楽やエンタメのコメンテーターの仕事をしてみたいと思っています!
▲イベントMCやラジオの仕事もこなす
そして、新しい舞台へ
起業して芸術の可能性を社会に発信していくという新しい夢に挑戦する青島さん。
その夢に向かって、さらなる力を身に付けるために、新しい舞台に登ります。
青島さんが挑戦するのは、全国の学生100名が所属する女子大生PRユニット『TeamKJ』の代表の座をかけたオーディション。
揺るぎない強い意気込みを語ってくれました。
オーディションにかける意気込み:青島ほなみ
このような機会が無ければ、今女子大生であるということを発信すること、顔を出すことは無かったと思っています。
こんな女子大生がいるんだということをこの場を通じて知って頂き、発信力、影響力を高めていきたいです。
今後も学生という身分に囚われず、これからも色んな事に挑戦していきますし、そんな私を見て、女子大生がもっと挑戦の幅を広げ、積極的に動いていける社会が作れたら嬉しいなと思います!
女子大生PRユニット『Team KJ』とは
全国の女子大生約50名が参加する学生団体です。卒業生、関連団体も含めると100名以上が在籍しています。
「社会に、まだない耀きを」を理念に20代女性向けのPR活動を行っていて、ウェブを使ったプロモーションや、イベントの企画運営を学生自らが行っています。
2015年度から行政、大手百貨店、農業系共同組合など50社以上とタイアップをしており最近では大阪万博の誘致プロジェクトにも携わっています。2020年5月より活動をオンライン化。コロナの影響により、リモートで「何かしたい」という多数の学生の声に応えるため、全国からオンラインで活動するメンバーを募集しています。